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雀刺し

雀刺し

「雨だれ岩を穿つ」と言うように、どんなに弱い力でも一点に集中すれば傷付けることが出来ないと思われるものに穴を開けることが出来ます。この理屈は将棋の「雀刺し」戦法にも見られ、有効な戦略として現代でも活用されているのです。雀刺し戦法について解説していきます。

雀刺し〜一点集中の戦法

どんなに頑丈なダムや堤防でも、小さな穴が開けばそこから決壊してしまうものです。

歴史上に名を残す合戦の中にも、「桶狭間の合戦」のように数で劣る側が大勢力を誇る相手を一点集中で突破して勝利を収めた事例が幾つも残されています。将棋における一点集中突破の戦法である「雀刺し」とはどのような戦法なのでしょうか。

雀刺しの特徴

スズメ刺し戦法は、角・飛車・桂馬・香車と言った移動力がある「飛び道具」で一点集中攻撃を行うものです。移動力の強い駒を集中させることで駒取りによる戦法の妨害を最小限に抑えられること、固く守られた囲いを破るのに打ってつけであることなどが特徴と言えます。

特に囲いの端に仕掛けると効果抜群です。また雀刺しは矢倉囲いの発展系の一つで、同時に組めば高い攻撃力と防御力を持った陣形を構築することが可能です。雀刺しの基本形は香車の後ろに飛車を付ける配置で、角道を開けて一気呵成に攻め込めるように駒を動かしてくことが重要になります。

雀刺しの弱点とは

スズメ刺し戦法が流行したのは、1979年の名人戦で別名「雀刺しシリーズ」と言われるほどスズメ刺し戦法を打つ棋士が多かったと言われています。しかし、ある戦法が流行すると対策が完成するのが早まるのが世の常で、雀刺しの弱点が露呈してしまい流行はあっという間に萎んでしまいました。

そして、雀刺しの弱点となったのが「棒銀戦法」です。雀刺しを組むとどうしても玉周辺の守りが疎かになってしまいます。そこを早い棒銀で攻め込むことで、王手・詰みに持ち込むと言うのが雀刺し対策としての棒銀の狙いです。

雀刺しを仕掛ける側は矢倉囲いを組んでいれば大丈夫と言うわけではなく、逆に囲いがある分だけ玉の移動が制限されてしまいます。このように、攻撃を維持するか攻撃を捨てて防御を固めるかの二択を迫られることが雀刺しの弱点になっているのです。

森下システム対策としての復活

対策の発見によって一時は廃れていた雀刺しが甦ったのは、矢倉囲いの発展系の一つである「森下システム」の流行に寄る所が大きいと言えます。森下システムは、森下卓九段によって開発された先手向けの戦法で、矢倉囲いの基本形を作ってから6八角と打ち玉を入城させる手筋が特徴です。

森下システムは右側の銀を温存することで相手の出方を見て攻撃にも防御にも転じることが出来るという優れた特徴があり、開発者の森下九段は2005年度の将棋大賞升田幸三賞特別賞を受賞しています。

しかし、攻撃にも防御にも転じることが出来る特性ゆえに早めに囲いが作られることになり、囲い破りにもってこいの雀刺しが使いやすいという弱点を抱えることになってしまいました。森下システムへの対抗手段として復活した雀刺しは現在も定跡戦法の一つとして入門書に記されているのです。

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