将棋の奥深さと楽しさを知ろう!【将棋一番星】
早石田

早石田

各種スポーツでは、相手の意表をつく奇襲が度々行われています。テニスのサービスエース、野球の隠し玉、サッカーのオフサイドトラップなどが奇襲の代表格と言えます。もちろん将棋においても奇襲戦法は存在しています。将棋の奇襲戦法の代表格である「早石田」について解説していきます。

早石田・攻撃特化の奇襲戦法

孫子の兵法では「兵は奇道なり」と説かれています。奇道とは「通常の方法とは違うやり方、奇抜な方法」のことで、正面から小細工なしで立ち向かう「正道」の対極にあるものとされます。

つまり兵法としての奇道を体現する戦法こそが、相手の慢心や心の隙を突く奇襲戦法です。そして、将棋の奇襲戦法の代名詞となっているのが石田流の「早石田」なのです。

石田流とは?

石田流とは、江戸時代の棋士である石田検校によって編み出された戦法のことです。石田検校の「検校」とは視覚障害者だけが付くことが出来る位の最高位のことで、琵琶や箏などの音楽や将棋・囲碁といった文化的な面で活躍したと言われています。

石田検校もそうした文化に貢献した検校の一人として、そして石田流の開祖として歴史に名を残しているのです。

早石田の特徴

早石田は、7七の歩を7六に進めて角の通り道を確保した後に、7五歩に打ち込む所から始まります。ここから歩・銀・角・飛車を駆使して一気呵成に攻め込んでいくのが早石田の醍醐味と言えます。

早石田は20手以内の序盤に実行されるため、相手は囲いを組む間も与えられないまま次々に攻め込んでくる駒を捌かされてしまいます。こうなってしまうと、一回の判断ミスが勝敗の分水嶺になり早石田を仕掛けられた方は実力を発揮できず敗北する可能性が高くなっていくのです。

早石田を破るには?

早石田は「ハメ手」と言われるほど、受け方を一つでも間違えればボロ負けする難攻不落の戦法として恐れられてきました。

しかし、現在では早石田に対する攻略法も確立されており、かつてのような強さはない戦法となっています。早石田の攻略は、起点となる「3手目の7五歩」を見逃さないことから始まります。早石田は急戦型の戦法でもある為、「3手目の7五歩」の時点で気付かなければ手遅れになってしまうからです。

7五歩が上がってきたら受け手は、7一金を上げて迎撃体勢を整えるのが最善策となります。早石田は、ボクシングで言えば「足を止めての打ち合い」を相手に強いる戦法なので、早石田を仕掛けた側に合わせないのが最善の攻略法となるのです。

升田式石田流とは?

攻略法が広まり、かつての怖さを失った早石田を甦らせたのが、第4台実力制名人である升田幸三です。1971年4月に行われた第30期名人戦での大山康晴名人との対局に、升田名人は改良した早石田を投入し勝利を収めたのです。

升田式の特徴は「先手でしか使えなかった早石田を後手でも使えるようにした」「振り飛車から玉を右端に寄せて守りを固める」などがあり、「ハメ手」と嫌われていた早石田の弱点を補強し立派な戦法として復興させたものとなっています。

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